※ネタバレすごいします。
カードキャプターさくらクリアカード編がすごい。
まじですごくて興奮が収まらないので書く。
クロウカード編で魔術師クロウの残した魔法のカードが起こすトラブルを解決してカードを収集したさくら。
さくらカード編で、そのカードを自分のものに変換していく成長を見せたさくら。
クリアカード編では、今まで側にいたカードが透明になってしまい、代わりに謎のクリアカードが起こしたトラブルを解決し、クリアカードを収集していく。
登場人物はクロウカード編、さくらカード編で敵だったり味方だったりした皆が勢ぞろい。みんなさくらちゃんが大好き。
そこに、新キャラの秋穂ちゃんが加わって、中学生活が始まる。
秋穂ちゃんはすぐにさくらちゃんたちと仲良くなるのだが、なんかきな臭い。
でも、すぐに秋穂ちゃんではなく、秋穂ちゃんの生い立ちと、秋穂ちゃんの「大切なひと」であるユナ・D・海渡が怪しいのだと知れてくる。
秋穂ちゃんの生い立ちはつらい。
非常につらく、まだ幼い内から旅に出され、それにユナ・D・海渡が執事のように同行している。
あと、秋穂ちゃんは知らないけれど、秋穂ちゃんの持つ本の守護者であるモモちゃんも。
このユナ・D・海渡が今回のラスボスである。というのは登場してすぐ知れる。
見るからに胡散臭い男である。
さくらちゃんにひどいことしやがって、と最初は思う。
が、だんだん秋穂ちゃんの事情が知れていくうちに、秋穂ちゃんにもひどいことすんなよこいつ、という気持ちになっていく。
この感情と情報操作がめちゃくちゃうまい。
そして、ユナ・D・海渡の情報も知れていく。
なぜ暗躍しているのか。なぜ秋穂ちゃんについているのか。さくらちゃんに何をさせたいのか。
読者が予想し、解答が明かされ、秘密が徐々に知れていくのに、最後のただ一つの目的だけが分からない。
分からないが、予想はつく。どっちなのか。
ユナ・D・海渡が選択する選択肢は読者にも容易に予想がつく。どっちなのか。どう信じればいいのか。
さくらちゃんに、秋穂ちゃんに、そして大切なひとたちにひどいことをしてほしくない。
しかし、ユナ・D・海渡の選択肢は、どれも誰かがとてもひどいことになる。
その選択がユナ・D・海渡の本性であるが、その選択はクライマックス、ちょうど14巻まで明かされることがない。
そして、ユナ・D・海渡のさらに過去まで知れていく。
過去を知ると、ユナ・D・海渡が悪人ではなく、ユナ・D・海渡もまた大切に思われているひとであることが知れる。
でも、本性は分からない。最後の選択の時まで。
14巻、クライマックスで、とうとうユナ・D・海渡の選択が提示される。
それはもうとても優しいが、人に大切に思われていることを知らない人間の選択で……。
世界はユナ・D・海渡の願い通りに歪められる。ユナ・D・海渡だけを除して。
もうこれが……ユナ・D・海渡!!!!!とフルネームで叫びたくなる選択である。
アンナチュラルで中堂系!!!!!!!!!!と叫んだのと似た質の激重感情である。
ユナ・D・海渡がすべてと引き換えに得た、歪んだ幸せの世界は、長くは続かない。
一瞬、読みながら考えてしまう。さくらちゃんが歪みを暴いて、ユナ・D・海渡の企みを台無しにしてしまったら。
今度は、ユナ・D・海渡が身を賭して作った優しい世界の敵はさくらちゃんになるのではないか。
でも、そうはならないと、すぐに明らかになる。
なぜなら、ユナ・D・海渡もまた、大切に思われるひとであるから。
彼を大切に思うひとたちの力で、さくらちゃんは真実に辿りつき、そしてユナ・D・海渡を助けに行く。
さくらちゃんなら「絶対大丈夫」だから、あとはもう幸せな結末を臨むだけだ。
15巻はまだ出ていない。
はやく最高のハッピーエンドを読ませてくれ!!!!!!
ストーリーテリングがうますぎる。
クリアカード編の最初は、さすがにクロウカード編、さくらカード編を超すことはないだろう、と思っていた。
1巻のあたり、最初は登場人物紹介的な流れもあって、冗長に感じられる部分もあった。
しかし、過去の登場人物の総力戦の体をなしていく展開、成長したさくらちゃんの頼もしさ、周りの人たち、そして新たな謎……読んでいくうちにどんどん面白くなっていった。
いやもうユナ・D・海渡よ……本当に……。
今回、ほぼ新キャラが3人しかいない。
秋穂ちゃんと、本の守護者のモモちゃんと、ユナ・D・海渡。
さくらちゃんはもちろん主人公なのだが、途中で秋穂ちゃんの物語となり、終盤はユナ・D・海渡の物語となる。
この流れのうまさが……。
ぼくのヒーローアカデミアでホークスの物語になるところ、あそこがめちゃくちゃ好きなのだ。
裏で身を削って暗躍している大人の話になり、その大人の過去が明かされ、大人のつらい過去からすべて救う流れになるやつが……癖で……。
過去って救われるんだな!? すごい。
三月のライオンでも過去の主人公が救われるシーンがあった。
暗躍する大人が傷ついた子供をずっと秘めていて、そのインナーチャイルドが救われるのが……こう……癖です。
その癖を最高の絵と最高のストーリーで描かれている。最高である。
最高です……。
周りに読んでいる人が誰もいないので、ブログに書いた。
みんな読んでほしい。
ストーリーテリングの技法としても最高峰だったので、マダミス作家の方にも是非読んでほしい。
キャラクターが選択する選択肢は予想が出来る。
しかし、その選択によって本性が現れる。
マダミスでは、その選択をプレイヤーがする。本性を決定づけるのはプレイヤーだ。
そういう体験ができるのがマダミスだと私は思っているからだ。
いやもう最高だったな……早く出ないかな最終巻……。