づどど

色々雑記です。

読書感想文または文章の書き方において重要かつ忘れられている構成について

読書感想文とか作文教育について言いたいこと。

 

文章の要素

プロのライターでも、依頼(テーマ)に合わせて
・文体
・構成
・内容
は予め調べてから書く。
ここで、よく抜け落ちるのが「構成」である。

 

文体は作文においては「である調」か「ですます調」の二択だろう。なので特に問題にはならない。※1
内容は読書をした感想である。これは読書感想文における主課題なので小中高生に考えてもらう部分である。

 

問題なのは構成である。

そもそも、文章を書く目的とは何か? 

思索の一助という人もいるだろうが、大抵において文章の目的は伝達である。
伝達を簡便にするためには、書く人・読む人両方が定型文を知っており、要点をあてはめて書くと伝達が速い。
伝達においては読み手と書き手双方が知っている定型文(構成)が有効なのであって、オリジナリティを発揮されると迷惑だ。
優れた構成とは、世紀の大発明(小説の叙述トリックとか)を除けば、社会で洗練された伝達技術(メールの定型文とか)だ。

小中高生に独自の発明を求める必要はないし、学校教育ではむしろ既存の構成をたくさん覚えさせた方が後々役に立つ

 

読書感想文での無茶ぶり

文体(である調・ですます調)とテーマだけ指定して作文を書かせるのは無茶だ。

文体・課題図書だけでなく、テーマに合わせた構成を指定することで、読み手がどう読みたいのか(How)が伝わる。読み手がどう読みたいのかが分かったら、ようやく書き手である子供たちは内容(what)の調査・研究・思考にいたれるのだ。
この調査・研究・思考にこそ自由があるのであり、「らしさ」があるのではないかと私は思う。
Howとwhatを混同して、howを教えずに自由に作文を!などというのは、逆にwhatを制限しているような気がする。

 

で、どういう構成が良いのかというと、


①「~~」という本を読みました。(タイトルの提示)
②この本は~~という内容です。(要約)
③中でも、◎◎という部分が気になりました。(独自の視点)
④◎◎から、~~という経験を思い出しました。(過去)
⑤あの時~~した方が良かったと思います/あれは~~ということだったのですね。(本を読んだことでのきづき・成長)
⑥この本にであえてよかったです。これからは~~に気を付けていきたいです。(未来)
とか書いておけば大体いける。


例文

「ももたろう」という本を読みました。
この本はももたろうが動物を仲間にして鬼を退治するという内容です。
中でも、動物を仲間にするときキビ団子を渡すという部分が気になりました。
お母さんもわたしにおてつだいしてほしい時に、おかしをくれるのを思い出しました。
相手におねがいごとがある時、おかしをあげると良いとわかりました。
この本にであえてよかったです。これからは相手にちゃんとおかしをあげてからおねがいをするように気を付けていきたいです。


読書感想文を書くには心根が腐っていたが、たぶん子供たちなら純粋な内容を当てはめてくれるはず。

 

 

※1

文体補足:プロの仕事の場合、メディア(掲載媒体)に合わせて文体を変える必要がある。たとえばファッション系のテーマだとしても「夏色コーデはキラキラがマスト! プチプラコスメにラメ激盛りで恋敵(ルビ:ライバル)に差をつけちゃお☆」なのか、「フランスセレブが実践している最新トレンド。トラッドに決めた地中海風コーデで海風を感じて」なのか、で大きく違う。好き勝手書いていい小説でも、やはり同様にテーマに合わせた文体表現は口語調が良いのか、一人称が良いのか、はたまた固い方が良いのか、工夫の余地がある。
とはいえひとまず作文は「である」か「ですます」で書いておけばよいのである。

 

※2
文章を書く目的で、思索のために書く人もいるだろう。この場合、読み手がいないので定型文は必要ないかもしれない。
ただ、思索においても定型文に当てはめる方が考えが整理されやすいこともあるだろう。

くわしくは考具を読もう。

 

考具 考具シリーズ

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